2日間町歩きをしました。
それまでにも
町にお
風景を
メンバーには同年代の方が多く、楽しい時を過ご
その四倉海岸もまた、2011年3月11日の地震と津波
福島県は、海岸から内陸までにおい
様々な施設により多重的に津波防災を図る検討を行い、
津波エネルギーを減衰させる」「防災緑地」の整備を
同県は「防災機能だけでなく、地域の日常
また震災復興に寄与する施
十分な配慮が求められています。
それは、この四倉海岸においてはどう可能なのか?
仙台海岸ですでに問題になっている、津波に耐えて生きの
あるいは「再生」ともいえるように浸水したあとに
盛土に埋められてしまうようなこ
「生物を盛
とい
6年ぶりに
北辰妙見尊のまつられた海岸段丘の上に咲くツワブキ(Farfugium japonicum)の花
津波被災範囲図(日本地理学会)。
赤い範囲が浸水区域、紫で示された範囲が特に建物に被害 が見られた箇所となります。
国道6号のうち浸水を免れた区間は自然堤防上に当たりま す。
また、図中央から下に位置する最も長い紫の範囲は浜堤が くぼんで
赤い範囲が浸水区域、紫で示された範囲が特に建物に被害
国道6号のうち浸水を免れた区間は自然堤防上に当たりま
また、図中央から下に位置する最も長い紫の範囲は浜堤が
周囲より地盤が低くなったところに当たります( 後ろに地形分類図を引用します)。
出展: 日本地理学会「津波被災マップ」
出展: 日本地理学会「津波被災マップ」
津波被災範囲図中の、図中央から上の紫の範囲を写した写
消波ブロックが遠浅の海底地形を変えると、
波浪や津波の
遠浅の地形は波浪や津波に対して抵抗をもたらし、
うねり
しかし、川からの砂の供給が減って砂浜が縮小されてきた
消波ブロックが汀線と平行に設置されて、本来
汀線と平行に流れて突堤な
岸から運んだ砂を沖
続く流れに岸へ再分配されることになり、遠浅の地
波浪や津波のエネルギーを減衰し得る)。
出展: 「いわき市海岸保全を考える会紹介」『EQUAL Vol. 25』(いわき地域環境科学会、2012年)89、90
四倉海水浴場のある砂浜から、漁港、海岸段丘を見る。
海岸段丘面と斜面に形成された樹林。
高木層の構成種として私が見たのは、
クロマツ(Pinus thunbergii)やスギ(Cryptomeria japonica)など
シロダモ(Neolitsea sericea)、ヤブツバキ(Camellia japonica)といった常緑広葉樹、そして
エノキ(Celtis sinensis)、コナラ(Quercus serrata)などの落葉広葉樹でした。
同様の構成による樹林は内陸部にも見られます。
林縁にはトベラ(Pittosporum tobira)やヒサカキ(Eurya japonica)、
ネズミモチ(Ligustrum japonicum)などの低木が生え
いずれも暖温帯性の常緑広葉樹です。
そして、6年前に出かけた時と同じくツワブキの黄色い花
なお、写真の地盤の高さは標高約18mに当たります。
ちなみに、それぞれの丘が、漁に出かけた際に自身が乗る船
位置を確かめる目印にされたからか、いくつかの
北辰は北極星、または北斗七星を指すとのこと。
トベラやツワブキは、四倉海岸の北隣に位置する蟹洗海岸
また、写真を写した地点から約200m北に位置する波立
ツワブキ群落の形成される北限とな
小田隆則『海岸林をつくった人々−白砂青松の誕生』(北
以下の文があります。「波
一般に地表に近いほ
おおむね地表の4分の1以下に、20~30m
したがっ
それほ
クロマツよりも耐潮性が低い照葉樹林が
千葉県森林研究センター研究員であった同書の著者は、
工
「汀線から離れた各地点における捕捉塩素
上記の説明を行っ
少し引いて見た蟹洗海岸。奥の岬の頂部は海抜59mに達
前述の波立海岸はその裏側(北側)に位置しています。
北辰妙見尊のある海岸段丘を成すのは、主に凝灰岩質シル
蟹洗海岸の露頭に見られる礫は、妙見尊社の周囲やそこか
切り通しの道に沿った露頭には見当たり
表層地質図を地形図と重ねて読むことで、地形発達史の理
ごく簡単なところでは、図左上に赤茶色で示された花崗岩
出典:『1/
砂浜の無植物帯が終わりコウボウシバ(Carex pumila)の生育する区域がは
この海岸は「四倉海水浴場」として人々に利用されていま
1985年作成の植生図には「砂丘植生」が形成さ
現在もさまざまな海浜植物が飛砂の
生息箇所を分けて
汀線から引いたところにできた塩性湿地にはシオクグ(Carex scabrifolia)が群
潮性湿地から離れた箇所に単独で生育していたシロザ(Chenopodium album)。
好砂性のハマニガナ(Ixeris repens)。
砂の移動がはげしい「半安定帯」に生えるそうです。
風による飛砂があるところに生えているわけですから、確
好砂性のコウボウムギ(Carex kobomugi)。ハマニガナと共に、小砂丘の前線
ハマヒルガオ(Calystegia soldanella)とハマニンニク(Elymus mollis)が生える小砂丘上のくさむら
海浜植物がクロマツの実生。
小砂丘の後背部に当たる、ハマヒルガオなどにかわってス
見ました(一般的にはチガヤ Imperata cylindrica 群集に入
「飛砂は、生育基盤である土壌を不安定にすると同時に、
樹体の枝葉を傷つけるため、塩分
このため砂丘地では二重に塩害に強くなければ生き残れな
その条件を満たしているのは、クロマ
「わが国で、海岸のマツ林を御立山などの禁伐林に指定し
江戸時代になってから
平藩の初代藩主内藤政長が海岸の湿地帯の開
「福岡の黒田藩士・加藤鉄心は、承応年間(1652~1
それをそのまま砂地に埋める方法をとった。この植えつ
平藩(福島県)でも行われた」(
マサキ(Euonymus japonicus)の実生。
クロマツと同じく、小砂丘の後背部、防潮堤のすぐ前で確認
「クロマツ林やアカマツ林(Pinus densiflora)のほうが海から飛来する海水や
広葉樹林にくらべて高い(…)
飛砂防止
これらについては、マ
問題は(…)広葉樹はクロマツに比べると塩害に
数十年に一度でも大型台風などに見舞われれば
そこにふたたび海岸林を
したがって、前線部分は景
内陸部は防災機能を効果的に発揮させるための上
ただ
なお、「上層クロマツ、下層広葉樹の複層林」的構成は、
小砂丘を横から見る。植物の種数は前線部から後背部へと
JR四ッ倉駅に近い、栗原邸跡の生垣。
マサキ、エノキ、シロダモなど、近隣の段丘上や斜面に生
生垣の右奥には、およそ300年前に植えられた旧浜街道
視点を変えてみます。
町中の生活空間と植物について、少しだけ。
中央の白い看板には「木村医院 患者さん通路」とあります。
「木村医院 患者さん通路」は、このような草木の多いやわらかな「肌
地域で実現されてきた生活の風景は、被災地の生活再建を
地形分類図と津波被災範囲図を見比べると、三角州や浜堤
浸水範囲が
もちろん地盤の高低の問題が基本にありますが、地形発達
ひいては
人間が安
出典:『1/
北茨城市海岸林。
車窓からながめただけですが、砂丘後背部に海岸林があり
ないしは砂州の上に
地盤の高低や
津波の影響や地盤沈
ただし、生物多様性保全(それは人間に対する生態系サー
そして気
この風景に足りていないと思います。
これらの観点も含めて(総合的に、未来の危機に備えて)
進められていくべきだと、私は考え