2019年10月30日に東村山市立南台小学校 (東京都) で開かれた「図工から身のまわりの世界へ − 東村山市立南台小学校 展覧会によせて」という会で、私は、頭だけでなく体を使ってものごとを実感し、自らも当事者と自覚をして身のまわりの世界の形成に臨むことの必要、必然を主題に、発表を行いました。
この会は、NPO法人アートフル・アクションと同小学校が主催しました。 「春に行った多磨全生園の見学を造形を通して深める活動を振り返る」ことが、この会の趣旨でした。その他、会について知っていただくために参考になると思う文を、同NPO法人の案内文から引きます。「子供達が造形する過程では、対象について知ろうと能動的になること、一人一人が物事をそれぞれに深く考えたり、植物や水、土、石、布、木材に始まるあらゆる素材の重さや質感、匂いにまで鋭敏に感じ取ることになります」「このような図工の可能性を再確認しつつ、造形を通して新しい眼差しで身の回りの世界をとらえること、世界や自分自身とつながること、あるいは自分をとりまく世界との出会いにふと立ち止まりその出会いの意味を考えること、ひいてはとりまく世界のありよう自体を問い、世界に対する働きかけをも育む図工の今日的な可能性と必要性について、風土を主題に設計活動を行うランドスケープデザイナーをゲストに招きともに考えます」。
私は、美術大学での自身の教育活動に関した記録を含むスライドショーを作成して、発表に臨みました。スライド全点を、このブログ上で公開します。
追記 (2020年1月8日) :
図画工作には、子供たちが「身の回りの世界との関係を自分自身の目や身体で新たに作りなおすこと、あるいは身体全体をセンサーとして開き、自分を取り巻く世界や他者を感じることにつながっていく」可能性がある。そう考える方々の集まりが、この会でした。
私は、高校時代に理数系の科目を苦手とし東京水産大学受験 (多紀保彦先生の研究室に入って魚類地理学を学び、卒業後は希少な淡水魚の生息地を保全する仕事に就きたかった) を断念してから、もう一つ好きだった美術 (絵を描くことは好きなだけで自信はなく、美術講師に美大進学を勧められ逡巡した後に決心) を軸としてデザインに接近し、環境についても学びながら自分なりに生態学的環境デザインの方法を模索してきました。その中に、美術大学で教える経験が含まれることにもなりました。
私にとってこの会は、自分を育ててくれた図工、美術教育の本質の再考が促され、今それに臨み苦心する方々に接して意見を交わし合うことができた貴重な機会となりました。