2013/04/06

風景資本論 Landscape As Capital































拙著『風景資本論』(朗文堂、2011年)の頁を、いくつか画像にてご紹介いたします。
小論の発信を望み、自主出版(自身の投資により書籍を制作し、出版社の協力を得て市販)を行ったものです。

なお、以下に本書出版の趣旨を表した「はじめに」を写します。


 私の仕事部屋の窓の外で、カラスウリのひからびて色褪せた冬の蔓が風に揺れている。窓を開けると乾いた蔓同士がこすれあって立てる音が微かに聴こえる。やがて春になれば太陽からの光が大地を温め、地下の根が水や養分を吸って、カラスウリは新しい緑の蔓を生やす。新芽がほころんで陽光を受けやすくなるとカラスウリの蔓は日増しに伸び、光と影の美しい模様を杉板張りの床に映しだす。

 これは私をとりまく環境の、ほんの一部にすぎない。そして、カラスウリや色や冬や蔓や風、春や太陽や光や大地や水……は、私たちが事物に名前をつけてそう呼んでいるにすぎないものだ。私たちが環境と呼ぶ自らが生きる世界は、私たちが大地と呼ぶところを大気なるものが包み、太陽なるものから光なるものが熱と呼ぶものと共に地表へ届き、水なるものが空中から地中までを動きまわり、そのことで私たちが生命と呼ぶものを備えた微生物から生物までが生かされ、これらすべての関係によって大地を表面とする地球上の物質が循環することで成りたつ。

 地球環境の危機が叫ばれて久しい。1992年には、ブラジルのリオデジャネイロに各国の首脳が集まり「環境と開発に関する国際連合会議(United Nations Conference on Environment and Development)」を開いている。しかし、その後国際的には「温室効果ガス排出取引(Carbon emissions trading)」や「生物の多様性に関する条約(Convention on Biological Diversity)」などが締結されているのに対して、国内では「省エネルギー」「循環型社会」「炭素固定」といった視点が頻出はしても相互の関係づけが不十分であったり、「エコ」なる語が冠された多種多様な商品の氾濫があったりと、私たちがこの危機にどう対処をすればよいか判然としない状況がある。

 私は「環境」を、冒頭に描写したような音の響き、匂い、肌ざわりをもあわせて土地の「風景」として見ることで、環境の成因のそれぞれと相互関係が読みとりやすくなると考えている。そうした「風景の見方」をもとに、将来にわたって人間が心身健やかに生き続けられる条件が環境にそなわるようにと構想を試みたものが、この本です。




朗文堂『風景資本論』紹介ページ:
http://www.ops.dti.ne.jp/~robundo/book/tokusetu/201111landscape.html



































追記
2015/10/08 1:24に以下のコメントをお寄せいただきました。 

> 是非拝読したいです。書店で入手可能ですか。

ありがとうございました。
ブログ本文への追記としてご回答させてください。
拙著を店頭に配置いただいている書店について私ははっきり把握してはおりませんが、都内では次の2店舗に常時置かれているのを知っています。

丸善丸の内本店:
http://www.marunouchi.com/shop/detail/2015
青山ブックセンター本店:
http://www.aoyamabc.jp/store/honten/

最寄りの書店でお買い求めいただく場合、発行元の朗文堂よりお取り寄せいただくことになるかと思います。
同社より直接ご購入いただくこともできます。

朗文堂:
http://www.ops.dti.ne.jp/~robundo/book/tokusetu/201111landscape.html

また、Amazonもご利用いただけます。
http://www.amazon.co.jp/%E9%A2%A8%E6%99%AF%E8%B3%87%E6%9C%AC%E8%AB%96-%E5%BB%A3%E7%80%AC-%E4%BF%8A%E4%BB%8B/dp/4947613858/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1444256169&sr=8-1&keywords=%E9%A2%A8%E6%99%AF%E8%B3%87%E6%9C%AC%E8%AB%96

以上、ご検討をいただけましたら幸いに存じます。

なお、私はコメント欄を理由があって使用していないつもりでしたが、表示がされていて記入ができる方がいたことを今回知りました。
このやりとりをもちまして、コメント欄は閉じさせていただきたいと思います。
ご質問をくださった方には、拙著へお問い合わせいただき、私に上記のことを気づかせていただいたことに感謝しております。