2017/11/17

ELR2017大会発表資料「地域住民の常識知を生かした持続的な生活環境の形成に関する研究: 東日本大震災津波被災地小渕浜表浜港における災害復旧事業への住民の対応を例として」 Study on the formation of sustainable living environment based on commonsense knowledge of local residents: a case of resident’s response to prefecture-operated disaster recovery project in the Omotehama port, Kobuchihama district, Ishinomaki City, Miyagi Prefecture




2017/09/24
ELR2017大会 (日本緑化工学会・日本景観生態学会・応用生態工学会 3学会合同大会) 発表スライド
Presentation-slides of the ELR2017 NAGOYA organized by Ecology and Civil Engineering Society, Japan Association for Landscape Ecology & The Japanese Society of Revegetation Technology


石巻市在住の環境デザイナー、阿部聡史氏との共同発表「地域住民の常識知を生かした 持続的な生活環境の形成に関する研究: 東日本大震災津波被災地小渕浜表浜港における災害復旧事業への住民の対応を例として」に用いたスライドを公開します。また、発表後に、宮城県が計画する防潮堤が整備された場合の当地区の環境と景観の変化に関した住民間での情報共有を助ける目的で三次元検討を行っています。その成果も参考資料として掲載します。

参照:
ELR2017大会:
https://sites.google.com/view/elr2017/%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%A0

ELR2017 NAGOYA (En) :
https://sites.google.com/view/elr2017-iclee8th-english
加藤裕則「6メートル防潮堤巡り平行線 石巻市表浜港」「朝日新聞」宮城県版、2017.11.16
http://www.asahi.com/articles/CMTW1711160400001.html


発表要旨:


1. 研究の目的

東日本大震災津波被災地で環境影響評価法の適用除外を受けて行われる災害復旧事業においては、原形の規模を遥かに上回る防潮堤嵩上げが進む。これに対しては、防災、生業や生活文化等の生態系サーヴィスの損失が諸研究から懸念されてきた1)
宮城県石巻市の牡鹿半島西部では堤防天端高をT.P. 6.0mとして防潮堤建設が進行している。しかし、小渕浜地区では南北に二つある漁港のうちの一つ表浜港の防潮堤整備に対して、住民の多くが、経験的に知る地形と津波減災の関係を主な根拠とし、住環境と景観の質を損ねないようにとの意図を併せて署名活動を始めるなど2)、同県の計画に反対している。この例に表れる生活者の常識知3)とその構造を検証すると共に、これらを生かした持続的な生活環境形成について考えることを本研究の目的とする。

 

2. 調査地

小渕浜は牡鹿半島西南部に位置し、太平洋の側に臨む小渕浜と北側の小湾口部の一角を占める表浜の二漁港を擁する。126世帯、297人が居住する。

 

3. 関連計画等

「宮城県震災復興計画 (2011) 」「東日本大震災公共土木施設等復旧方針 (宮城県、2012) 」「石巻市震災復興基本計画 (2011) 」「三陸復興国立公園 指定書及び公園計画書 (2015) 」などがある。


4. 方法

表浜港における災害復旧事業の内容と進行に関した住民意向を尋ねる質問紙調査を、小渕行政区の承認を得て全加入世帯を対象に実施する。回答は、非常時の災害対策から平時の生活、生業までに関係する生活者の常識知の構造の検証を通して分析する。

分析は、牡鹿半島西部の地域環境条件に照らして行う。現地踏査、聞き取り調査、文献調査を基に当地の環境と景観の質を自然、歴史、文化等から総合的に考察し、生活者の常識知との関係性を検証する。

その上に、住民の常識知を生かした地域の生態系と経済系の総合的理解と経営管理、そして持続可能な生活環境の形成について可能性を検討する。


 5. 経過報告
 
2017610日に地区住民と質問紙調査の方法の検討を始め、地域環境条件調査に着手した。また、質問紙調査を718日より開始し、810日の回収以降分析作業を進める工程を組んでいる。


引用文献:

1) 廣瀬俊介「自然と歴史と文化をふまえた震災復興」『共存学3』弘文堂、2-15年、17-34頁  

2) 加藤裕則「揺れる防潮堤 上」「朝日新聞」宮城県版、2017.6.19

3) ピーター・バーガー、トーマス・ルックマン『現実の社会的構成』山口節郎訳、新曜社、2003年、34頁
 出典:
「ELR2017 名古屋 / 8th ICLEE 講演要旨集」ELR2017 名古屋実行委員会、2017年、82頁