「坂元植林の家 さとのえ」整備事業に、ランドスケープデザイナーとして参加しています。この記事では、さとのえのランドスケープデザイン、外構整備計画・設計のあらましについて30点のスライドを使ってお伝えします。
さとのえ (里の家の意。宮城県柴田町) は、林業と住宅建築業を併せて行うサカモトグループのブランド「坂元植林の家」のモデルハウスとして企画されました。同グループは、このモデルハウスを地域の風土に則して整備し、自然と人の関係が保たれた暮らしの価値を示そうと企画を立てました。そのことで地域の森林が守られ、水源涵養ができ、物質循環が保て、雇用機会を持ち続けられ、地域の自然と文化ひいては地域の個性が引き継がれて、地域社会が持続でき、自社も持続できると考えてのことです。私は、この社会的意義の大きな事業に、建築家山田貴宏さんの推挙を受けて参加しました。
さとのえの計画対象地は、低山から丘陵へ連なる鞍部の尾根から北向きの斜面にかけて、かつて農地とされ、現在はウメ、キリ、カシワ、クヌギなどが点々と植えられた土地とされました。その中で、私たちは水が流れやすく土地がやせやすい尾根に人の活動の場の中心を置くことを決めました。建物は、一棟の規模を大きくし過ぎないことや、季節や日々の天候によって建物と外構とその中間に当たる空間を自由に選んで使えるように分棟されました。建物は、日射しや風、暑い時期ならば夕方から夜にかけて温度が下がって重くなり山側からゆっくりおりてくる冷気を取り入れられる細かな位置とつくりを検討し、設計されてもいます。冬季の風向の67.5 %を占める西風、南西風1) に対しては、尾根の南側の斜面に生える木々が風を上空へ一度逸らす効果を補い得るよう、そして果実を食物にできるという別の役割を兼ねることにも期待をして、地区の農家によく見られるカキノキ、ユズ、イチジクを1本ずつ植えています。その他、ランドスケープデザインの考え方やおおよその中身については、スライドをご覧ください。
1) 四季別風向 [ 昭和32-46 年 (1957-1971) 大河原局地農気象観測所] 出典: 柴田町史編さん委員会編 (1989) 柴田町史 通史篇 I. 柴田町. p. 14, 18.
以下は、サカモトグループとビオフォルム環境デザイン室が、さとのえについてそれぞれ設けているホームページです。
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さとのえ—里山で自然とともにある暮らし|坂元植林の家
https://www.sakamoto-shokurin.com/satonoe/
「さとのえ」プロジェクト@宮城県柴田町|ビオフォルム環境デザイン室
https://bioform.jp/project/satonoe
担当一覧 (坂元植林の家ウェブサイト掲載情報に一部補足):
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建築設計: 山田貴宏 (ビオフォルム環境デザイン室)
建築施工: 株式会社サカモト
左官: 原田左官工業所
ランドスケープデザイン: 廣瀬俊介 (風土形成事務所)
建築外構施⼯: 小畑英智 (庭⼀株式会社)
イラストレーション: 藤井信明 (AIRWORKS)
広報: 簑田理香 (地域編集室簑田理香事務所)
視覚伝達デザイン: 須田将仁 (Takuu tuore)
WEBコーディング: 大塚康宏 (Fundemic)
追記:
「坂元植林の家 さとのえ」整備事業は、ウッドデザイン賞2023 最優秀賞「環境大臣賞」に選ばれました。同賞は「木で暮らしと社会を豊かにするモノ・コトを表彰し、国内外に発信するための顕彰制度」とのことです。さとのえは、その中の「木を活かして森林・林業や地域・社会の持続性を向上させている」事業を対象としたソーシャルデザイン部門に応募されました。
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ウッドデザイン賞2023|一般社団法人 日本ウッドデザイン協会 プレスリリース
https://www.wooddesign.jp/slaker_news/upload/files/attach_file1_20231109acaa9af38407f0381dcc5a6bb23a6470c8de2ed7.pdf?fbclid=IwZXh0bgNhZW0CMTAAAR2-3BVOd4kW8BdRpNGgTUTPiajqPPyuoITtWyujFBb-74ohCSQhVbTANjs_aem_AXOFp9m8AyCHaje53Sehw5Phe2p5bRjqb81m7SD9jFndfcXEVYa9LbFaCdyiYDS6o4CUe_nlYAEh0Nt5veXhFekP
参照: 坂元植林の家|さとのえ https://www.sakamoto-shokurin.com/satonoe/ |