2014/05/31
第3回全国薬草シンポジウム 飛騨
The 3rd National Herb Symposium in Hida
廣瀬俊介 (東京大学空間情報科学研究センター 協力研究員)
Shunsuke HIROSE (Cooperative Research Fellow of the Center for Spatial Information Science at the University of Tokyo)
2000年から岐阜県吉城郡古川町、現飛騨市でアーティスト・イン・レジデンス事業や実験旅行の企画、生活環境保全林と林道余除地の基本設計、小学校高学年以上を読者とする地誌『町を語る絵本 飛騨古川』制作などのさまざまな事業に参画する機会をいただいてきました。
これらは一貫して、飛騨古川という土地の風土の、個別的現象的ではなく構造的理解を進めながら遂行するように、旧町役場、現市役所の担当者には求められてきました。彼らが、風土の成り立ちを理解し、それに則した将来構想を立てることが暮らし手の飛騨古川への思いにかなう、当地に固有の環境、文化を生かした持続可能な地域社会の継承と進展に有効と考えていたからです。
風土の理解を進める中で、私は飛騨古川の理想の風土像を「朝霧たつ都」と表現することを発想し、旧古川町はそれを第五次総合計画の目標に採用しました。以降、市町村合併を経た後も、飛騨市は旧古川町域における政策を「朝霧たつ都」の継承と進展を目標に立案、実行してきています。
彼らはそれを「農村環境デザイン政策」と名付けて、朝霧を発生させる豊かな水循環をはじめとした地域の物質収支を保つことで当地の人々の生業と生活と文化が存立し続けられるようにさまざまな事業を展開してきました。
2006年に、私は飛騨市役所の依頼を受けて農村環境デザイン政策「朝霧プロジェクト」を、改めて旧古川町域の環境形成総合目標「朝霧たつ都」に照らしつつ整理し、説明する資料の作成を委託されました。そして、2014年5月31日、6月1日に飛騨市が全国薬草シンポジウム開催地となったことから、それを視覚伝達するスライドショーの制作を提案し、担当をしています。
なお、「朝霧プロジェクト」で意図されているのは市役所が行財政を先導しながらも、市民が主体的に「朝霧たつ都」の継承と進展に関係してゆくことであり、それが根付いてきていることは今回の全国薬草シンポジウムにおいても、さまざまな場面で確かめられました。
ここでは、飛騨市役所の賛意を得て、東日本大震災と新潟・長野県境地震に遭った被災地の復興や、その他の地方の町や村の再生を考える上での参考資料としていただければと、スライド70点余を公開いたします。
市長をはじめとする飛騨市のみなさま方のご厚意に感謝いたします。