2013/04/14

北方遊水池(大柏川第一調節池緑地)の基本設計過程と現在 Design of the Bokke reservoir and the recent situation



私が、複数の市民環境団体の方々と基本設計にたずさわった、
通称「北方遊水池(大柏川第一調節池、千葉県市川市)」について投稿します。
これは、こうした遊水池が津波にも洪水にも減衰効果をもたらし得ることを、
東日本大震災被災地の復興においても応用できるのではないかとの考えにもとづきます。

本稿は、『Bio City 18号』(株式会社ビオシティ、2000年)に、
「風土の形成−旅のまなざしと生活のまなざし」として掲載された文章を
再構成したものです。

杉田博樹編集長による、私のスケッチブックを誌上で再現する意図にしたがって、
この記事のために風景観察スケッチ、基本設計図面を再編しつつ
文章も手で書き起こした原稿の画像データを、ここに載せます。

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5月のよく晴れた日の北方遊水池 

The Bokke reservoir in Ichikawa City, on an extremely fine day in May 2016
http://shunsukehirose.blogspot.jp/2016/05/2016522the-bokke-reservoir-in-ichikawa.html






































以上が同誌への寄稿となりますが、以下、2013年4月9日現在の遊水池の状態をご覧に入れます。






























下総台地の斜面林です。
遊水池のある沖積地は、
この谷の斜面の
延長が埋められて
できています。






























写真右手のフェンス奥が遊水池。
手前は、休耕田を借り受けて、当地の水辺環境の性質を把握したり、
子供たちの生物観察や農業体験などを行う「北方ミニ自然園」。






























大柏川から見た遊水池。
前後より高さを低く抑えた越流堤から、洪水流が池へ入り込みます。

敷地東南の角から見た「棚池」の群。



































敷地南辺から東辺を見た図。



































堤防上の道。































最も広く水深のある下池は、西(大柏川の側)から東(下総台地の接する側)にかけて底が浅くなり、
ヨシ( Phragmites australis)が広がり、タチヤナギ(Salix subfragilis)などが生えています。




























 




畦道の途中に育つタチヤナギ。
来訪者の休める木陰をつくるのは、もう少し生長した後であるようです。


  





























モズ(Lanius bucephalus)の
はやにえについて、
高校生が調査票を
付けていました。

































岸には、基本設計に沿って
ひだ状の凹凸が
もうけられています。




























ただし、岸から水底にかけての
勾配には変化が乏しく、
生物多様性を満たし得る
環境になるには、
もう少し時間が要りそうです。
設計時に、これより変化のある
微地形の基盤造成を
指定しておくべきでした。






























このような防災と生態、そして緑と水に接しながらの休息ほかに留意してもうけられた調節池兼用の緑地が、
人口468,367人(2013年3月31日現在)を擁する市川市にあります。

何より、数十年にわたりこの池を当地が休耕田であった際に棲みつくようになったのと同じ種類の
さまざまな生物の生息空間とすべく、市民間、および市と県との話し合いを重ねて来られ、
このような計画を実現させた地域の先輩諸氏に敬意を表します。
北方遊水池の今を支える管理者の方々にも…。