2018/03/26

環境と経済、そして未来 The environment, the economy and the future




 2018年3月24日、こどもの未来にYES! をつくろうネットワークは、宇都宮市のひと粒台所タノハナで初めての集まり「はじまりのツドイ − 未来につながる『今』を読み解いていこう」を催しました。私は、このネットワークの発起人の一人として、「こどもの未来にYES! をつくる」活動の根本に「自然の物質循環のなかに人間の経済循環を溶かし込むこと」、そして「人間の経済活動は生き甲斐の持てる暮らし方や働き方を探求する上にあるべきこと」への志向をすえることは有効なのではないかとの考えを発表しました。

 生き甲斐の持てる…としたのは、自然は所得として浪費するのでなく資本と見なければ人間社会は持続しないと言明した経済学者E. F. シューマッハー (Ernst Friedrich Schumacher) の著書『スモール イズ ビューティフル (Small Is Beautiful) 』(1) に、こう書かれていることに影響を受けて、です。「生産の過程が『仕事から人間らしさを奪い、仕事を単なる機械的な作業に変えてしまった』とすると、人間はいったいどうなるのだろうか。労働者は自由な存在としての地位を変えてしまうのである」。そうならないためには「生産方法や設備に人間の創造力を活かす余地」が大切とする、人間的な考え方です。「家族の次に社会の真の基礎を成すのは、仕事とそれを通じた人間関係である。その基礎が健全でなくて、どうして社会は健全でありえよう」 (2) 。そして、仕事の中身が資本としての自然を壊しつくすものでなく確かに人間と社会のためになるものであることも、働く時間を人生の一部として充実して過ごせるようにするために必要と考えられます。

 このようなことを思い考えながら、「環境と経済、そして未来」と題して発表を行いました。ここでは、当日の45分の発表時間に合わせて使わなかったものを含めて (主に灰色を背景色に用いたスライド) すべてのスライドを公開します。その内容については、今後思考を続けて深めてゆきたいと望んでいます。なお、環境と経済についての私の考え方の基本は、拙著『風景資本論(3) に示していますので、こちらもご覧ください。

1. E. F. シューマッハー『スモール イズ ビューティフル』小島慶三・酒井 懋訳、講談社、1986年
2. シューマッハー同書、46-47頁
3. 廣瀬俊介『風景資本論』朗文堂、2011年  










A・J・ホーン、C・R・ゴールドマン著『陸水学』手塚泰彦訳、京都大学学術出版会、1999年 http://www.kyoto-up.or.jp/book.php?id=658&lang=jp




KAMAGAWA POCKET ウェブサイト: http://kamagawapocket.com/





Millennium Ecosystem Assessment 編『国連ミレニアム エコシステム評価 生態系サービスと人類の将来』横浜国立大学21世紀COE翻訳委員会責任翻訳、オーム社、2007年 https://www.ohmsha.co.jp/book/9784274203800/




参照: 西條八束・奥田節夫『河川感潮域』名古屋大学出版会、1996年 http://www.unp.or.jp/ISBN/ISBN4-8158-0293-9.html



参照: 総務省|電子政府|日本国憲法 http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=321CONSTITUTION&openerCode=1

那須俊貴「環境権の論点」『調査資料; 2006-2-B シリーズ憲法の論点; 14』国立国会図書館調査及び立法考査局、2007年 (PDF) http://www.ndl.go.jp/jp/diet/publication/document/2007/200703.pdf


E. F. シューマッハー『スモール イズ ビューティフル』小島慶三・酒井 懋訳、講談社、1986年 http://bookclub.kodansha.co.jp/product?isbn=9784061587304



宇沢弘文『社会的共通資本』岩波書店、2000年 https://www.iwanami.co.jp/book/b268515.html

参照: 東北風景ノート「第2回復興支援活動連絡会報告: 気仙沼市津谷・小泉地区災害復旧代替案 − 生態系を基盤とした防災・減災」http://shunsukehirose.blogspot.jp/2016/02/2-report-at-2nd-liaison-meeting-for.html





沖 大幹『水の未来』岩波書店、2016年 https://www.iwanami.co.jp/book/b226382.html






参照: 東北風景ノート「2016年日本地理学会春季学術大会発表資料 − 地理学を生かしたランドスケイプデザイン #5 − 岐阜県飛騨古川における盆地霧発生を環境指標とした農村環境デザイン政策を例として」 http://shunsukehirose.blogspot.jp/2016/03/5-geographybased-landscape-design-5.html

























参照: 東北風景ノート「早戸温泉遊歩道を歩く」 http://shunsukehirose.blogspot.jp/2015/01/stroll-around-hayato-spring-trail.html

参照:東北風景ノート「2016年秋の早戸温泉遊歩道」 http://shunsukehirose.blogspot.jp/2016/10/2016the-hayato-hot-spring-trail-in.html

参照: 河邑厚徳・グループ現代『エンデの遺言 − 根源からお金を問うこと』講談社、2011年 http://bookclub.kodansha.co.jp/product?isbn=9784062814195





出典: ヴェルナー・オンケン (Werner Onken)「資本主義によらない市場経済 − 基本思想、その歴史的発展および現状、関連団体・文献リスト」『自由経済』9、宮坂 英一訳、ぱる出版、1997年 (PDF) https://grsj.org/book/sfe/shihonsyuginiyoranaishijyoukeizai.pdf







参照: 徳野貞雄『農村 (ムラ) の幸せ、都会( マチ) の幸せ』NHK出版、2007年 https://www.nhk-book.co.jp/detail/000000882112007.html
参照: 吉川 夏樹、 長尾 直樹、三沢 眞一「田んぼダム実施流域における洪水緩和機能の評価」『農業農村工学会論文集』7 (3) 、2009年 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsidre/77/3/77_3_273/_article/-char/ja/

参照: 諸富 徹『人口減少時代の都市』中央公論新社、2018年 http://www.chuko.co.jp/shinsho/2018/02/102473.html