2017/03/30

文化財探検隊「土祭風景遠足 − 芦沼石をたどる」 Guide to the landscape of the small tuff area in Mashiko




2017/03/25
文化財探検隊「土祭風景遠足 芦沼石をたどる」説明資料 [2025/05/22 二訂]
Guide to the landscape of the small tuff area in Mashiko [22 May 2025, Second revised.]


 文化財探検隊は「益子町歴史文化基本構想」で、市民との共同調査手法として2016年より始動しました
 
  土祭風景遠足は「この土地に生きることの祭り」を主題とした「土祭2015」 における益子の風土・風景を読み解くプロジェクトの一環として企画された、自然と人間の良好な関係からかたちづくられた風景を、参加者が案内者と巡り歩く行事です。この企画に、私は土祭2015風土形成ディレクターとして参画しています。

 今回、私は文化財探検隊の案内者となることを益子町生涯学習課より依頼されました。そこで「土祭風景遠足」としてこれを行うことを双方で検討し、 自然史を基礎にすえて文化財を見る回として主題を「芦沼石をたどる」とすることを提案し採択されました。これは、益子焼に用いる「柿釉」の原料とされてきた当地の凝灰岩「芦沼石」を、陶業とは慣れた観点からも見ることを勧めて、益子の見方の幅を広げる楽しみを伝えるという意図に基づきます。  

 この説明資料は、遠足当日に雨が降った際に行うことを求められていた講演のために作成しました。地域、大地を成す石や土やそこに降る雨や雪、そこに生きる動植物そして人間の営みなどが関係し合い、その全体として形成されています。だから、何を中心に置いても地域をつくるさまざまな事物の関係をたぐり寄せるように見てゆくことができます。とりわけ、風景にはこれら事物の関係が見え隠れしていますから、それを読み解いてゆくことで風景がなぜ今そう見え、地域がどのような事物から今どう成り立っているのかを知ってゆくことができます。

 地域を見つめ直すこのような遊歩を楽しいと感じる方は、これまでの私の経験からして少なくないように
思います。また、地域のこれからを考えるためにも、風景を読み解くことを通して地域の成り立ちを知ってゆくことは
欠かせないと、私は考えます。益子町では、そのために、商工観光課に設けられた土祭事務局が「土祭風景遠足」を企画し、それを今回は生涯学習課が運用するという、部課を超えての公共投資の成果活用が実行されています。
 
 また、昨秋に栃木県地域振興課の企画・主催、特定非営利活動法人とちぎユースサポーターズネットワークの運営、益子町の地域コミュニティヒジノ」が詳細企画をした「はじまりのローカル コンパス」益子版でも土祭風景遠足コンパス版」を実施していました。公共事業の一環として起案された企画が民と官を問わずさまざまな事業主体によって折々に運営されるうしたは珍しく好もしいものなのではないでしょうか

 おわりになりますが、この資料は「土祭2015基礎資料」第8集「小宅(PDF)と第9集「大沢・北中」(同) を
合わせて再編し、そこへ新しい知見と解釈を足して作成しています

 
追記
 325日土曜日は晴天の下、(早々に定員に達した) 30名の方々と文化財探検隊を楽しました。それから芦沼石に関して、町役場の方々も私も知らなかった情報を伝えてくださった方々が、25日の前にも後にもいらっしゃいました。れらの情報の中には、私にとって未知の採石場跡もありました。
 
 次に益子へ出かけたらぜひそこ訪ねてみたいと思います。


益子町生涯学習課|益子の文化財|芦沼石をたどりました
http://www.town.mashiko.tochigi.jp/page/page001804.html
土祭2015 公式ウェブサイト
http://hijisai.jp/