2013/09/02

強首輪中堤視察 2013/08/25 (秋田県大仙市) : 改訂版 An inspection tour of Kowakubi wajuu (ring levee) in Daisen, Akita 25/08/2013


 
輪中 (わじゅう) は、木曽三川 (木曽川、長良川、揖斐川) の流域によく残る、
堤防で集落を環状に囲う治水工法です。
その応用を東北地方で初めて行ったものが、この「強首 (こわくび) 輪中堤」です。

強首地区は、流域面積4,710㎡を擁する雄物川に面します。
そして、船着き場が置かれ、雄物水運における要衝の一つとして栄える一方、
秋田県全面積の約40%を占める流域の広さから上流部での降雪が影響しての春の融雪と、
夏の台風による洪水被害を受け続けてもきました。

そのような中で、国土交通省東北地方整備局は同地区を水害から守るために、
上流から連続堤を約15km整備する方法と、
集落の周囲のみを延長約3kmの輪中堤で取り巻き、
水は集落に隣接する雄物川旧河道などからなる土地ほかへ反らす方法とを比較検討し、
早期に効果が得られる輪中堤築造を選びました。

迅速に効果が得られることもそうですが、堤防の整備延長がより短いために
河川と周辺へ及ぶ環境影響を軽減することができ、整備費用を抑えられ、
水の勢いに逆らわない伝統工法の思想が理に適うことを合わせて、
私はこの事例を評価します。

なお、この強首輪中堤の存在は、秋田市在住の安藤寛久氏に教えられて知りました。
同氏には参考情報・資料も提供いただいています。
また、岩手県大槌町在住の 池ノ谷伸吾氏には、
本ブログの公開後に次の文を寄せていただきました。
ご本人の許可を得て、以下に引用をいたします。

—


この地区の皆様とは、震災をきっかけにご支援頂き、交流を持たせていただいています。
この強首地区は、洪水以外にも過去に直下型地震の大きな被害も受けた場所だそうです。
雄物川の蛇行と何度も氾濫を繰り返して来た地形、そして幾度か起きた直下型地震、

いろいろな事で危険な場所ではあるけれど、そのかわりに肥沃な大地という恵みを頂いていると、
強首農事組合の会長さんはおっしゃられていました。
しかし、近年洪水も起きていないことから防災意識が低下し、消防団の意識も落ちている……その結果、

住民の繋がりが無くなってきている、とも話されていました。
そして、今後は大槌町民との交流を深め、地域意識を今一度強くしていきたいとおっしゃってくださり、

勉強会も行っていく予定です。
便利、安全は、ある意味リスクを伴うということも、伝えていってほしいです。


 —

この場を借りて、お二人の方々へお礼を申し上げます。 
誠にありがとうございました。


引用文献  
国土交通省東北地方整備局「事業評価資料」2007年 
www.thr.mlit.go.jp/bumon/b00097/k00360/.../siryou19_3_5_2_1.pdf

参考文献
 

安田佳哉「強首輪中堤事業」『土木学会誌 第84巻第6号』日本土木学会、1999年、24-25頁
 


追記
この強首輪中堤と同じ「水の勢いに逆らわない」治水工法を紹介した記事が、本ブログにはあります。
以下の通りです。


広村堤防視察 20121104 (和歌山県有田郡広川町) :
http://shunsukehirose.blogspot.jp/2013/04/20121104.html 

北方遊水池(大柏川第一調節池緑地)の基本設計過程と現在:

http://shunsukehirose.blogspot.jp/2013/04/blog-post.html













砂利敷き部分は堤体に浸透した河川水や雨水の通りをよくして内部の湿潤面を下げ、裏法面の崩壊やすべり破壊を防ぐ目的で設けられているとのこと。尾田栄章氏 (福島県広野町建設課復興建設グループ) にご教示を賜りました。 2013/12/27記











2013/08/05

生態学的環境デザインにもとづく小泉地区再生試案: 改訂版 The post-tsunami revitalization plan for the Koizumi District based on ecological environmental design concept: revised version



2013年8月4日、私は東京海洋大学で開かれたシンポジウム「三陸の未来を語ろう − 防潮堤から考える日本の未来」(一般社団法人環境復興機構主催) に報告者として参加しました。

一般社団法人環境復興機構ウェブサイト:
http://env-reconst.org/?p=210

この記事は、そこでの報告「生態学的環境デザインにもとづく小泉地区再生試案」のスライドショー抜粋を主に構成します。その原案は、同年6月7日気仙沼市本吉町の浜区多目的集会所にて意見発表を行ったものです。
試案作成の基本条件には変わりがありませんので、詳しくは6月10日投稿の記事をお読みください。

廣瀬「小泉地区再生試案 − ジオパークとしての津谷川汽水域公園構想」:
http://shunsukehirose.blogspot.jp/2013/06/proposal-for-koizumi-district.html

なお、本報告の論旨を要約したレジュメが、下記リンクの項目「講演・口頭発表等」よりダウンロードいただけます。併せてご覧いただけましたら幸いです。

ReaD & Researchmap 廣瀬俊介:
http://researchmap.jp/read0199902


















東北風景ノート「広村堤防視察 20121104 (和歌山県有田郡広川町)」 http://shunsukehirose.blogspot.jp/2013/04/20121104.html



東北風景ノート「北方遊水池の基本設計過程と現在」 http://shunsukehirose.blogspot.jp/2013/04/blog-post.html








東北風景ノート「エネルギーシフトと三陸の生業再興試案」 http://shunsukehirose.blogspot.jp/2013/04/blog-post_4.html








三陸ジオパーク推進協議会ウェブサイト: http://sanriku-geo.com/




同書は名古屋大学出版会が発行 http://www.unp.or.jp/ISBN/ISBN4-8158-0293-9.html

同書は岩波書店が発行 http://www.iwanami.co.jp/hensyu/sin/sin_kkn/kkn1209/sin_k670.html


気仙沼市本吉町小泉地区を対象として開催した災害復旧事業説明会概要より作成 www.pref.miyagi.jp/uploaded/attachment/117938.pdf





Facebook アルバム「Museum Insel Hombroich (インゼル ホムブロイヒ美術館)」 https://www.facebook.com/hirose.shunsuke/media_set?set=a.313011515462630.72175.100002613530684&type=3



Facebook アルバム「早戸温泉遊歩道ランドスケイプデザイン実習 2012」 https://www.facebook.com/hirose.shunsuke/media_set?set=a.330054467091668.78137.100002613530684&type=3




低地を一度「河川」扱いにした後で一部を田畑に利用したい人があらわれた際は、河川管理者の許可を得た「河川占用」として可能になる。



左は万石浦。右は北上川沿川の田園で、海と山から成る「三陸ジオパーク」と対となって魅力を発揮する後背地と考えて、写真を掲載した。


写真手前が上流側で、水衝部として考えられる石垣の隅が曲面状に仕上げられている (下流側の庭に上がる箇所は算木積みを採用)。